「はーあ?ジジイが芸人??笑わせんな、喧嘩屋に負けてタマ抜かれたか?」
この軽薄な五十路男は、書類に一目だけ呉れると簡素な机の上に其れを放った。
役所仕事此処に極まれり。これが地方のギルドや役所ならば、
彼の男も相応な人物であると言えるが、此処は神殿である。
以前話で聞いた限りでは、ある貴族の4男坊で、
様々な役と職をたらい回しになった挙句、辿り着いたとの事である。
それは専ら男の性格、もっと言えば捻じ曲がった性根の故であり、
並外れた精神鍛錬に培われた者が集う、この神殿にしか居場所が無かったとも言える。
これは双方の不幸だったとも言えるが、其れでも収まるところに収まるのが世の妙である。
「抜かせ小僧。ところで、転職の折に毎度神殿に出向かねばならぬのは何故じゃ。」
「はん?そりゃ職ってのが人生との契約だからだ。
言えば、結婚と同じ人生の誓いだ。なら、神に誓うのが筋ってもんだろ。」
「では盗賊だのの類はどうじゃ?」
「ありゃ職業盗賊だ。盗みは罪だが肩書きで罰は与えられねえしな。
第一、一般市民への盗みは許されてねえし、冒険者ってのは金持ちだ、
経済ブン回すためにも、溜め込ませるより放出させた方が国益に適うからな。」
「国益か。自由なようで、儂らも知らず踊らされておるのじゃな。」
「おいおい、今更気付いたのかよ?やっぱアンタ筋金入りの脳筋だな。
幼児洗礼から葬式までの宗教的文化慣例、その度に教区簿冊に記録するんだが、
国家運営側としては、税もヒモ付けられて美味しい訳だ。
特にグレス帝国ってのは、冒険者つう異物を社会構成員に組み込むの特性上、
動向把握は必須。そこで神殿で式事を行うという名目で来させりゃ、
郷に入りては、、なんて自然に考えるから反発も少ないだろ。
ジジイみてえに、誓いだけ立てといて平気で職を変える罰当たりも結構いる訳だが、
こっちも名簿管理が具体的な目的だから、来る分には淡々と処理するだけだ。
冒険者からは大して税が引っ張れねえから、これでキンタマ握れる訳じゃねが、
もしもの時の駒を握っておけるのは、国としてはそれなりに意味があるってもんだ。」
「意外と物知りじゃな」
「貴族ってのはな、大概インテリなんだよ。税を毟るだけが能じゃねえ」
「それが巡り来て神殿の生臭坊主か」
「ま、いいのさ。人生色々。若い頃は不満もあったが、無能なりに今は親父に感謝だ」
「ふむ。」
「お、そろそろ時間だな。聖堂に入ってくれ。また顔出せよ。葬式だったら俺がやってやるぜ!ナハハハ!」
職業、肩書、属性、其れ等は人間の一面に過ぎず、
観測される世界もまた一面に過ぎない。
群盲象を評すに似て、人は皆、知らず瞽に世を渡る。
・・・・・・
本来ブログ用と本編のコメント用のテキストは表示される文字数の関係で、
以前は手直ししていたのですが、コピペするとまー見辛い事。
ボーナス別で武器熟練度が8、騎乗が7、回避が6になったので転職。
騎乗は削って、能力か技能枠に振った方が良さそうな感じです。
芸術の神(だっけ?)にしてしまうのも有りです。
騎乗を鍛え始めたのは最近ですが、回避自体は多分上げる気ではいた筈。
古い記事を見ると入国して7年強(!)も立っているのに、
ようやく熟練度6というのは、流石に低すぎる気もします。
問題点は幾つか有りますが、ゲームの設計上という部分を除けば、
とにかく能動的に上げるのが難しいの一言に尽きます。
発動率は3割程度、勝利してしまう場面では役立たず。
これに集中する間は、勝利金と武具の磨耗を諦めなければ
いけません。そして達成に7年。今まで経験したどんなゲームより
堂々1位のマゾゲーと胸を張って言えます。本当にありがとうございました。
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