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「ふーん、下手くそ。」
「ぬーむ。・・何じゃこれは。」

茣蓙の上に広げられた細工道具と飾細工。
ふと興味深そうに覗き込んだ少年は、無慈悲にそう告げ、
浜の方へと走り去った。虹の欠片とも言われる虹水晶。
稀なる材料を全く頓珍漢な異物に拵える指先には我ながら感心を覚える。

冒険者の内、銀細工師は装飾具の作成を許された職業である。
だが現実に、銀細工師が「銀細工」を行うのは稀。
寧ろ、その入手性と素材の脆弱性から、強いて手を出す事は無く、
専ら、別の材料で様々作成するのが常である。

本来、かのような多岐に渡る作成品目の許可を持つのは金細工師で、
ギルド制度下では、銀製の装飾・食器を主とする銀細工師と厳しく区別される。
これは相互共存の協定であり、生存を懸けた権利にして法である。
では、帝国における銀細工師なる肩書きと職能の齟齬は何処から来るのか。

前提として、帝国には金細工は存在し、銀細工師も存在する。
他の国と同じく、仕事は厳密に区分されているが、「冒険者を除いて」である。
これは身分制度上、冒険者が真なる臣民では無い事を表す。
冒険者の職業名称とは、便宜上、外様に振られた肩書きに過ぎないのだ。

その事は、冒険者の各最上級職を見る通りで、上級には違いないが、
一般に最上級と呼ばれる名称が存在しない点を見ても明らかであろう。
故に、装飾作成の最上級である金細工師の誉は、冒険者には冠されない。

ある男は、冒険者の経済圏は遮蔽経済であると言った。
免税を始めとする優遇措置を置きながらも、
その流通は冒険者の店か、冒険者の商人を必ず介する閉鎖市場である。
一度その輪に交われば、その他の経済に関わることは事実上不可能であり、
狭い輪で手に入れた富も、その実流出の許されぬ偽りの黄金である。

金本位制とは異なる世界の住人、冒険者。
その扱いと立場は、銀細工師という肩書き一つから読み解いても、
よく考えられていると、老人は不明な細工を放り独り思った。


ーーーー 


お爺ちゃんが、物凄い勢いで世界観の理由づけをでっち上げていくシリーズ。
サグメさんとも話したのですが、言うほど銀は扱わない「銀」細工師。
何故銀細工師なのか?

本文のような理由も考えられますが、
金が扱えても、作成品目の範囲が実際に狭い点に着目するなら、
あくまで服飾の類までの作成が許可されているのが銀細工師とも考えられます。

歴史的にはゴールスミスは、金貨や銀貨の作成も手掛け、
長じて銀行業も始めるなど、その財力と権力は高い位置にありました。
中世風ファンタジーな世界においても、この許可の有無が、
金細工師と銀細工師を分けているのかもしれません。

そもそも冒険者の作成職は、家内制手工業ですし、
ギルドに所属もしていないですので、社会的地位を高く設定できる
後ろ盾や要素が何一つとしてありません。

そう言った意味でも銀細工師は銀細工師で正しいのだと思います。

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