娑婆とは煩悩と苦痛に満ちた現世を言い、又は忍土と言う。
生まれ落ちて六十八年。苦悩と忍従は、併し余生を生くると成りては些事瑣末。係累の死による愁傷も漫ろ過ぎ去り、知らず己の番である。
来世の形は知らねども、己が己であるのは今生一度。家、村、国。和を失いその孰れにも属せぬ己を看取するに至り、己とは何か。
かつて剣を奪われた。
この余生に、今一度剣を取る。
生まれ落ちて六十八年。苦悩と忍従は、併し余生を生くると成りては些事瑣末。係累の死による愁傷も漫ろ過ぎ去り、知らず己の番である。
来世の形は知らねども、己が己であるのは今生一度。家、村、国。和を失いその孰れにも属せぬ己を看取するに至り、己とは何か。
かつて剣を奪われた。
この余生に、今一度剣を取る。
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